M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの業務内容・費用・違い【前編】
どちらもM&Aを支援してくれる存在ですが、その業務内容や費用体系は異なります。実は、M&Aの成否を分けるのは、これらの専門家の選び方にあると言っても過言ではありません。
この記事では、M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの業務内容・費用体系の違いを徹底的に比較し、それぞれの特徴をわかりやすく【前編】【後編】に分けて解説していきます。
最適なパートナー選びのポイントもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
M&A PMI AGENTは上場企業・中堅・中小企業の「M&AからPMI支援までトータルサポート」できるM&A仲介会社です。詳しくはコンサルタントまでお気軽にご相談ください。
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- 目次
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1. M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの違いとは?
1.2 M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの比較
1.2.1 業務内容
1.2.2 費用体系
1.2.3 M&Aコンサルタント・アドバイザリーを利用するメリット
2. M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの業務内容の違い
2.1 M&Aコンサル・アドバイザリーの業務内容
2.1.1 M&A戦略の立案
2.1.2 候補企業の探索・選定
2.1.3 企業価値評価
2.1.4 交渉支援
2.1.5 クロージング支援
2.1.6 PMI支援
2.2 M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの業務内容の比較
3. M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの費用体系
3.1 M&Aコンサル・アドバイザリーの費用
3.1.1 着手金
3.1.2 成功報酬
3.1.3 その他費用
3.1.4 タイムチャージ制
具体的な事業内容としては、M&Aの相談・戦略立案・交渉、M&Aの手続きや契約業務などを行います。一般的にM&Aコンサルのサービスは、M&A契約締結までとなります。
M&Aコンサルタント | M&Aアドバイザリー | |
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業務範囲 | 戦略立案から実行、PMIまで幅広く対応 | 財務的な側面に特化したアドバイス |
専門性 | 経営戦略、財務、法務、人事など多岐にわたる | 企業価値評価、デューデリジェンス、ファイナンシャルアドバイスなど |
顧客ターゲット | M&Aを検討し始めたばかりの企業から、経験豊富な企業まで幅広い | 財務的な専門知識を求める企業 |
また、M&Aコンサルティング会社は、M&A支援会社の総称的なものであり、大きく「M&A仲介会社」と「M&Aアドバイザリー(FA:ファイナンシャル・アドバイザーとも言う)」の2つに分類されます。
M&A仲介会社 | M&Aアドバイザリー | |
---|---|---|
ポジション | 譲渡企業・買収企業の双方と契約し、仲介の立場で友好的な交渉をサポートする。 | 譲渡企業・買収企業の片方と契約し、買収価格などでクライアントのメリットの最大化を追求する。 |
コスト | M&Aアドバイザリーに比べて安い傾向にある | M&A仲介と比べて高くなる傾向にある |
メリット・デメリット | 友好的な交渉を行うことで、スピード感があり契約成立しやすいが、仲介の立場なので両社の落としどころを探ることになり、譲渡価格などのメリットを最大化にはならない。 | クライアントのメリットを追求するため「高く売る・安く買う」が実現しやすい。相手方もM&Aアドバイザリーを立てて交渉となるため、契約になりづらく交渉決裂するリスクが高い。 |
1.2 M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの比較 1.2.1 業務内容
M&A仲介会社 | M&Aアドバイザリー | |
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M&A戦略の立案 |
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候補企業の探索・選定 |
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企業価値評価 |
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交渉支援 |
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クロージング支援 |
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PMI支援 |
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1.2.2 費用体系
M&Aコンサルタントの料金体系
• 着手金• 中間報酬
• 成功報酬
※着手金・中間金を取らず、成功報酬のみのM&A仲介会社が多い
M&Aアドバイザリーの料金体系
• リテーナーフィー• サクセスフィー
※M&Aコンサルタントに比べ、報酬が高額になるケースが多い。
1.2.3 M&Aコンサルタント・アドバイザリーを利用するメリット
- 専門知識・ノウハウの活用:M&Aに関する専門知識や豊富な経験を持つコンサルタントが、クライアント企業をサポートすることで、M&Aを成功へと導くことができます。M&Aコンサルタントは、M&Aに関する法律、税務、財務、人事、組織、事業など、幅広い分野の専門知識を持っています。
2. M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの業務内容の違い 2.1 M&Aコンサル・アドバイザリーの業務内容 M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーは、M&Aのプロセス全体を通して、様々な業務を遂行します。主な業務内容は下記の通りです。
2.1.1 M&A戦略の立案 M&Aは、企業の成長戦略において非常に重要な位置づけを占めます。しかし、闇雲にM&Aを進めるのではなく、目的や目標を明確にした上で、最適な戦略を策定する必要があります。
M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーは、企業の現状や課題、将来展望などをヒアリングし、M&Aの目的や目標、対象企業の選定基準、買収後の統合計画などを盛り込んだM&A戦略の立案を支援します。
▼例えば
売上目標の達成 | 中長期的な売上目標を達成するために、新規事業の立ち上げではなく、M&Aによって早期に事業を拡大したい場合。 |
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技術力の獲得 | 自社に不足している技術やノウハウを補完するために、特定の技術を持つ企業を買収したい場合。 |
後継者不足の解消 | 後継者問題を解決するために、事業を承継してくれる企業を探したい場合。 |
2.1.2 候補企業の探索・選定 M&A戦略に基づき、候補となる企業の探索・選定を行います。M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーは、独自のネットワークやデータベースを活用し非公開企業を含む幅広い候補企業を探索します。
財務状況や事業内容、企業文化などの観点から候補企業を絞り込み、最適な相手を見つけ出すためのサポートを行います。
▼候補企業の探索方法は、大きく分けて以下の3つ
1.データベース検索 | M&A仲介会社や金融機関などが持つデータベースを利用して、条件に合致する企業を検索します。手軽に多くの候補企業を抽出できる一方、公開情報のみで判断するため、詳細な情報を得るためには、個別にアプローチする必要があります。 |
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2.ネットワーク活用 | M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーは、金融機関、会計事務所、弁護士事務所など、様々な業界とのネットワークを持っています。これらのネットワークを通じて、非公開企業を含む候補企業を紹介してもらうことができます。より精度の高い情報を得ることができ、効率的に候補企業を探索することができます。 |
3.ダイレクトアプローチ | 対象となる企業を特定し、直接アプローチする方法です。ターゲット企業が明確な場合に有効ですが、相手企業との関係構築や交渉スキルが求められます。 |
2.1.3 企業価値評価 M&A交渉を進める上で、対象企業の適正な価値を算定することは非常に重要です。M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーは、DCF法やマルチプル法などの手法を用いて、対象企業の財務状況や将来性を分析し、企業価値評価を行います。
これにより、売買価格の妥当性を判断し、交渉を有利に進めることができます。
企業価値評価の手法
企業価値評価には、様々な手法がありますが、代表的な手法として、以下の3つが挙げられます。
1.DCF法 | 将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引くことで、企業価値を算定する方法です。将来の収益力を重視するため、成長企業の評価に適しています。一方で、将来予測が困難な場合や、割引率の設定によって評価額が大きく変動する可能性があります。 |
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2.マルチプル法 | 企業価値評価の一手法で、評価対象企業と同じ業種や市場に属する類似企業の財務指標を基にして企業価値を算出する方法です。この手法では、売上高、EBITDA、純利益などの財務指標に基づく倍率(マルチプル)を用います。 |
純資産価値法 | 企業の純資産(総資産から総負債を差し引いたもの)を基準にして企業価値を評価する方法です。この評価方法は、企業が保有する資産の実態価値に重点を置いて算出されます。 |
2.1.4 交渉支援 M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーは、売買価格や契約条件など、M&A交渉を円滑に進めるためのサポートを行います。
豊富な経験や専門知識に基づき、双方の意見調整や合意形成を図り、条件交渉をまとめます。また、法務や税務など、専門的な分野については、弁護士や税理士と連携して対応します。
交渉支援では、以下の様なポイントを押さえることが重要です。
秘密保持契約の締結 | 交渉開始前に、秘密保持契約を締結することで、お互いの企業情報を保護します。これにより、安心して交渉を進めることができます。 |
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デューデリジェンスの実施 | 対象企業の財務状況、法務状況、事業状況などを詳細に調査することで、リスクを把握し、適切な条件交渉につなげます。 |
条件交渉 | 売買価格や支払方法、契約解除条項など、契約条件を交渉します。M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーは、専門知識や経験に基づき、顧客企業にとって有利な条件を引き出すための交渉を行います。 |
2.1.5 クロージング支援 M&A契約締結までの最終段階であるクロージングにおいても、必要な手続きや書類作成などをサポートします。関係当局への届出や許認取得など、複雑な手続きをスムーズに進めるための支援を行います。また、M&A後の統合プロセスを見据え、円滑な事業承継をサポートします。
クロージングでは、以下の様な手続きが発生
1.最終契約書の締結 | 交渉がまとまった内容に基づき、最終的な契約書を作成し締結します。契約書には、売買価格、支払方法、契約解除条項など、重要な項目が記載されるため、内容を慎重に確認する必要があります。 |
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2.関係当局への届出 | 独占禁止法や外国為替及び外国貿易法など、関係当局への届出が必要となる場合があります。M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーは、必要な手続きをサポートします。 |
3.資金決済 | 契約に基づき、買収資金の決済を行います。 |
2.1.6 PMI支援
- M&A後の統合プロセスであるPMI(Post Merger Integration)は、M&Aの成否を左右する重要なプロセスです。M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーは、組織統合やシステム統合、人事制度の統一など、PMIにおける様々な課題に対して、専門的なアドバイスやサポートを提供します。
組織統合
買収企業と被買収企業の組織を統合し、新たな組織体制を構築します。組織文化の違いを考慮しながら、円滑な統合を進めることが重要です。システム統合
異なるシステムを統合し、業務効率化を図ります。システムの互換性やデータ移行などを考慮する必要があります。人事制度の統一
給与体系や評価制度など、人事制度を統一します。従業員のモチベーションを維持しながら、公平性を担保する必要があります。2.2 M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの業務内容の比較 M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーは、どちらもM&Aに関する専門知識や経験を持つ専門家ですが、業務内容や役割には違いがあります。主な違いを以下の表にまとめました。
M&Aコンサルタント | M&Aアドバイザリー | |
---|---|---|
業務範囲 | M&A戦略の立案から成約まで、M&Aプロセス全体を幅広くサポート | M&Aの専門業務に特化し、候補企業の探索・選定、交渉支援、クロージング支援などを中心に担当 |
専門性 | 経営戦略、財務、税務、法務など、幅広い分野の専門知識を持つ | M&Aに関する専門知識や豊富な経験、独自のネットワークを持つ |
費用体系 | 着手金、中間金、成功報酬など、プロジェクトの内容や規模によって異なる | 着手金、中間金、成功報酬など、M&Aの成約金額に応じて決定されることが多い |
費用体系 | 着手金、中間金、成功報酬など、プロジェクトの内容や規模によって異なる | 着手金、中間金、成功報酬など、M&Aの成約金額に応じて決定されることが多い |
顧客との関係 | 顧客企業の経営課題を解決するために、中長期的な視点でサポートを行う | M&Aの成約を目標に、顧客企業の利益の最大化を追求する |
3. M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの費用体系 3.1 M&Aコンサル・アドバイザリーの費用
- M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの費用は、依頼する業務範囲やM&Aの規模によって大きく異なります。費用の内訳を把握しておくことは、予算計画を立てる上で非常に重要です。
ここでは、M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリー費用体系について詳しく解説していきます。
M&AコンサルタントとM&Aアドバイザリーの費用は、大きく分けて以下の4つの構成要素があります。
内容 | 相場 | |
---|---|---|
着手金 | M&Aのアドバイザリー契約を締結した時に発生する費用です。M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーが、M&Aの初期段階で費やす人件費や調査費などに充てられます。 | 数百万円~数千万円 |
成功報酬 | M&Aが成立した場合に発生する費用です。日本の中小M&Aでの報酬体系は、主にレーマン方式が採用されています。 | 着手金を除くM&A金額の数% |
その他費用 | M&Aのデューデリジェンス(due diligence)やバリュエーション、契約書の作成・レビュー、関係官庁への届出などに発生する費用です。外部専門家への費用などが含まれます。 | 数百万円~数千万円 |
タイムチャージ制 | M&Aの規模が小さい場合や、スポットコンサルティングの場合に適用されることが多いです。時間単位で費用が発生します。 | 1時間あたり数万円~数十万円 |
3.1.1 着手金 着手金は、M&Aアドバイザリー契約を締結した時に発生する費用のことです。着手金は、M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーが、初期の段階で費やす人件費や調査費、準備費用などに充てられます。
着手金の金額は、M&Aの規模や難易度、コンサルタントの 専門性 によって異なりますが、一般的には数百万円から数千万円程度が相場です。
着手金が発生するタイミング
着手金は、契約締結時、または契約締結後、M&Aプロセスが開始されるタイミングで支払うことが一般的です。着手金の支払い時期は、契約書で事前に確認しておきましょう。
着手金と成功報酬の関係
着手金は、M&Aが成立しなかった場合でも返金されないケースがほとんどです。ただし、M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリー側に重大な過失や契約違反があった場合は、返金される可能性があります。成功報酬は、着手金とは別に、M&Aが成立した場合にのみ支払われます。
3.1.2 成功報酬 成功報酬は、M&Aが成立した場合に発生する費用のことです。成功報酬は、M&Aの成功に対する対価として支払われます。成功報酬の算定方法は、主に以下のレーマン方式を採用するケースが多いです。
レーマン方式 レーマン方式は、M&Aの金額が大きくなるほど、成功報酬率が下がる方式です。例えば、M&Aの金額が1億円以下の場合は5%、1億円を超え5億円以下の場合は4%、5億円を超える場合は3%といったように、段階的に成功報酬率が設定されます。レーマン方式は、比較的小規模なM&Aで採用されることが多いです。
3.1.3 その他費用 その他費用には、以下のものが含まれます。
• デューデリジェンス費用
• バリュエーション費用
• 契約書作成費用
• 契約書レビュー費用
• 関係官庁への届出費用
• 弁護士費用
• 会計士費用
• 税理士費用
その他費用の相場は、数百万円から数千万円程度です。M&Aの規模や難易度によって、その他費用の金額は変動します。
デューデリジェンス費用
デューデリジェンス費用とは、買収対象企業の財務状況、法務状況、事業状況などを調査するために必要な費用のことです。デューデリジェンス費用は、買収対象企業の規模や業種、調査項目の数などによって異なりますが、一般的には数百万円から数千万円程度が相場です。
バリュエーション費用
バリュエーション費用とは、買収対象企業の企業価値を算定するために必要な費用のことです。バリュエーション費用は、買収対象企業の規模や業種、算定方法などによって異なりますが、一般的には数百万円から数千万円程度が相場です。
その他の費用
その他費用には、契約書の作成・レビュー費用、関係官庁への届出費用、弁護士費用、会計士費用、税理士費用などが含まれます。これらの費用は、M&Aの規模や難易度によって異なりますが、一般的には数百万円から数千万円程度が相場です。
3.1.4 タイムチャージ制 タイムチャージ制は、M&Aの規模が小さい場合や、スポットコンサルティングの場合に適用されることが多いです。タイムチャージ制の場合、時間単位で費用が発生します。
タイムチャージ制の相場は、1時間あたり数万円から数十万円程度です。M&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーの 専門性 によって、タイムチャージ単価は変動します。
編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったPMIのスペシャリスト。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。